2003年12月吉日
障害者の皆様
障害者の家族の皆様
障害者問題に関心のある皆様
ドリーム・プロジェクト
原案者  秋吉 隆信


≪ドリーム・プロジェクト 第一次原案≫


『障害者福祉の村(仮称)』基本構想原案

T.はじめに

 障害者福祉推進北九州連絡会議(障北連)は、 九月に再結成以降、結成総会で出された意見を はじめ、二度にわたる幹事会、その間取り組まれた調査活動や、障害者の生の声、 さらには障害者の家族の切実な要求、障害者団体からの要請事項、 ボランティア活動を行っている市民の声など、現状把握に努めてきました。
 その結果、様々な立場から障害者問題に取り組んでいる人達の問題意識を整理すると、 おおよそ以下のようにまとめられると思います。


@ 障害者が自立して今日の社会で生きることは極めて厳しい現状であること。
A 特に障害者をめぐる雇用問題はますます深刻化していること。
B 生活の基本となる、例えば住宅問題についても、 世帯中心となっている公共住宅には単身の障害者の入居が難しいこと。
また、バリアフリー住宅の絶対数も不足していること。
C 障害者自らが事業を企画し、自らの生活環境を築く必要性に迫られていること。
D 障害者自らの能力を高めるために、質的に強化したリハビリ体制が必要なこと。
E そのために、現在ある障害者スポーツセンターの機能に加え、 多様なリハビリ機能を有する新たな視点に立った施設の建設が求められていること。 障害者問題と密接に関わるボランティア活動についても様々な課題があり、 特にボランティア預金についてはその実現性が必要であること。
F これらの障害者施設を考える場合、 環境問題ともリンクしたエネルギー政策が求められていること。
G 以上のことから、現北九州空港の跡地利用で、これら障害者問題解決のための 施設建設もその検討課題として提起する意義があること。
H その祭、小規模作業所の運営を始め、 障害者をめぐる様々な施策についても、あわせて、改善できるプランが求められていること。


 まだまだ多くの課題や問題意識はありますが、 具体的な提案を作り、障北連としての考え方を社会的に明らかにし、 多くの市民の論議を行う叩き台として、この基本構想原案を提起することとしました。
 なお、これから述べる内容は、障北連の内部にドリーム・プロジェクトを立ち上げ、 その中で検討を加えまとめた第一次原案であり、 おおまかな骨格を示しただけですから、今後、具体的検討を加え、 肉付けを行うことを前提に御理解して頂きたいと思います。




U.『障害者福祉の村(仮称)』基本構想の骨格


 私達は、新たに作る組織や建物、また、その機能全体を一つの自治体としてイメージし、 その仮称として「障害者福祉の村」を考えました。
この村の建設予定地は、現北九州空港の跡地を予定しています。

 まず、大きな建物のイメージとして、うみがめの姿を想像して頂きたいと思います。
うみがめに例えていうと、体の部分に、建物全体の中核的機能を建設します。
この部分を本館とします。(下イメージ図参照)

 本館一階フロアーには、給食センターを設置します。 なお、この給食センターは、これから述べる全ての施設から 要望のある給食に対応すると共に、隣接して、直営のレストランを作り、 一般利用者にも対応し、社員食堂としても利用することとします。

 本館二階フロアーには、温浴センターを設置します。 イメージとしては、スーパー銭湯を想像していただき、 当然、介護の必要な障害者への対応も可能な浴室とあわせ、 男女それぞれが温泉並に入浴が楽しめる施設とし、 サウナやジェットバスも完備することとします。

 本館三階フロアーには、スイミング・リハビリセンターを設置します。
車椅子利用の障害者をはじめ、視覚障害者、 聴覚障害者へも対応した設備を検討すると共に、 身体機能の回復・維持・増進や、水泳を楽しむ施設も築くなど、 多様なリハビリ機能を備えた温水プールとし、一年中利用可能な施設とします。

 本館四階フロアーには、体育館を設置します。
車椅子バスケットボールやバレーボールなど、球技ができる構造にします。

 本館五階フロアーには、武道場を設置し、 柔道・剣道・空手・弓道などが行える施設とします。

 本館六階フロアーには、リハビリセンターを設置します。 初めて身体障害者になった人の車椅子や装具などの使い方を指導し、 その他のリハビリも行う施設とします。

 本館七階フロアーには、筋力トレーニングセンターを設置します。 このフロアーでは、筋力トレーニングに必要な道具の整備をはじめ、 ダンスやエアロビなども行える施設にします。

 本館八階フロアーには、アート・リハビリセンターを設置します。
絵画・書道・陶芸・音楽・演劇など、芸術活動を通してリハビリを行う施設にします。

 本館九階フロアーには、生活訓練センターを設置します。
パソコンやインターネットの研修や、電磁調理器を使った料理方法など、 仕事や生活を支える訓練をはじめ、手動式自動車運転の研修も行える施設を 検討することとし、障害者が実生活で役に立つ技術の習得を行うものとします。

 本館十階フロアーには、メンタルケアセンターを設置します。
障害を持つ人やその家族などが障害を受け止め、受け入れられるよう、 身体機能訓練ではなく、メンタルな部分を重視したケアを行う場所とし、 専門家・経験者を置きアドバイスやカウンセリングを受けられる施設にします。

 本館十一階フロアーは、ボランティアで来館した人の研修や 各種会議に対応する会議室スペースや、 大きな集会にも対応する多目的ホールを設置します。


 うみがめの右手部分には、リハビリ病院を誘致します。
この病院は、手術を終え回復期に入った患者で、 リハビリが必要な患者を対象とします。また、老人病院も誘致することとします。 欧米に比べ、寝たきり老人が多いと言われているわが国の状況を改善する為にも 充分な人手をかけたサービスに重点をおきます。 あわせて、老人ホームも誘致します。 本館にある多様な施設を有効活用し、充実した高齢者の生活保障を目指します。 さらに、グループホームの誘致も検討します。


 うみがめの右足部分には、社宅の確保としてバリアフリーの 市営住宅の建設を求めることとします。 単身用の1DKタイプと家族用住宅、さらに当直勤務の宿泊施設も兼ねたものとします。 さらに、ビジネスホテル機能を持った宿泊施設を建設します。 この施設は、基本的には村の直営ホテルとして運営します。 検討課題として、マンションの建設について様々な角度から検討します。 なお、賃貸マンション・分譲マンションの両面から検討し 本館機能の利用のメリットも考え合わせながら 障害者が安心して暮らせるバリアフリータイプとします。


 うみがめの左手部分には、売店を設置します。 この売店には、コンビニとして営業する機能と、 村の中で使用する全ての商品の購入窓口としての機能を設けます。 更に、小規模作業所のコーナーを設けます。 そこでは、パン屋、うどん屋、ラーメン屋、居酒屋などの食堂街をはじめ、 リサイクルを中心に、衣料、電化製品、家具などの 販売会社も検討することとします。


 うみがめの左足部分には、クリーニングセンターを設置し、 村の中で発生する全てのクリーニング業務を一元的に取り扱うこととします。 あわせて、公民館に相当するスペースを確保し、 各種カルチャーセンターや障害者のお見合いパーティをはじめ、 冠婚葬祭にも対応することとします。


 うみがめの頭部分には、ワークステーションとボランティアセンターさらに、 総合案内窓口を作ります。 ワークステーションでは、施設全体の清掃業務や簡易なヘルパー業務、 給食センターへの配置要員やクリーニングセンターへの配置要員を確保し、 日々の仕事量の変化に対応した調整機能をもつこととします。 なお、作業内容に応じたユニホームの貸与をはじめ、 ロッカールームを設けた更衣室もこの中に配備します。 また、日々変化するボランティアの皆さんの作業内容の指示や配置についても、 同様に執り行うこととします。


 うみがめの尻尾部分は、村役場とします。 村長、助役、出納役、経営企画、総務、経理などの主要な役職と電気事業部、 上下水道の管理さらに、人事、銀行、郵便局、車両、駐車場などを担当することとします。 特に、電力については、膨大な電気量の使用となることから、 風力発電での対応を検討します。 仮に、村の事業全体がNPO法人として認可されれば、 風力発電の建設費の半額は国の補助金が受けられ、 残りの建設費についても国の債務保証が受けられる現行制度となっている有利さを含め、 積極的に検討のこととします。 また、水の利用についても、プールや入浴施設など多くの再生可能な水資源が有り、 さらに現在では雨水の再利用も一般化していることから、 できれば地下に大きな水槽を作り、簡易浄水の後、 トイレ排水に利用できるよう検討のこととします。 屋上には、給水タンクとあわせ、太陽熱で温水を作る設備や、 太陽光発電も可能な限り設置することとします。


(イメージ図)





V.ボランティア活動と電子マネーの考え方について


 障害者が働く労働の対価、いわゆる賃金に相当する部分や、 ボランティア活動に対する労働の対価については、 村の中だけで通用する通貨を発行することとします。 具体的には電子マネーとし、現在あるクレジットカードや 銀行のキャッシュカードのような物を想像していただきたいと思います。
 労働に対する考え方は、職場を固定して配置されるものと、 日ごとに職場が変わるものとに大別されます。 また、いわゆる賃金水準についてもリーダー、サブリーダー、スタッフ、 スタッフ助手など、四段階に分け、能力や責任の重さを繁栄することとします。 また、作業の内容によっても高齢者の話し相手や本を読むという 比較的軽い作業から、入浴介助、おむつ交換、トイレ掃除など ハードな内容となりそれぞれの作業の質や密度に対応した 賃金水準を検討することとします。
なお、村設立の目的が幅広い障害者の雇用確保にあることから、 賃金の水準についても比較的抑えたものにならざるを得ません。 同様に、ボランティアで参加をして頂く皆さんについても、 社会的にみれば低水準となることに御理解を賜りたいと思います。 現実的な処理方法については、固定的に配置される職員については、 月単位の賃金を電子マネーで振り込むこととしますが、 日々仕事量の変わる職員とボランティア職員については、 ワークステーションにて、その日の労働証明書を発行し村内の銀行にて 随時処理できることとします。 当然、村内のレストラン、コンビニ、各店は、電子マネーでの支払いが 可能なシステムとします。




W.ドリーム・プロジェクト メンバーの募集について


 「障害者福祉の村(仮称)」の基本構想第一次原案は、大綱以上の通りです。 あくまでも、骨格のみの提起ですから分かりにくいところや 不十分な面は多々あると思います。
 これから、この原案に対する多くの皆さんの多様な意見やアイディアを集めて 具体的な肉付け作業を行いたいと考えています。 現在、障北連に参加をしている会員も少なく、決して幅広い人材も集まっていません。
 しかし、この基本構想を見ていただければ分かるように、 極めて広範な課題を専門的に深めていかなければ とても実現性のある政策とすることはできません。 できるだけ、多くの皆さんのアイディアやプランそして色々な夢を持ち寄って、 できれば大きな市民運動として成長することを願っています。
 私にはこんな夢がある という一人一人の思いを結集する為に ドリーム・プロジェクトへの参加をよろしくお願いします。


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