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障害のある人たちの人権を考えるシンポジウム
誰にとっても暮らしやすい北九州市にするために part2


~障害者の人権を守り、差別をなくすジョーレイってなに?~



 3月27日土曜日 午前10時から12時30分まで、 ウェルとばたにおいて障団連人権部会主催による表記学習会が行われ、 秋吉・佐藤・中園の3名が参加しました。


1.
 まず、熊本県から来られた竹田 勉 氏から 「なぜ、条例づくりが必要だったのか!? ~熊本県における障害者への差別をなくすための取組みについて~」 の講演を受けました。
 その中で特に強調されたことは、熊本県として条例を作るにあたり 障害者自らが当事者の問題意識から本問題に取り組んだことでした。 従来、法律や条例を作る時は、 官僚や学識経験者と言われる人たちが中心となって作り、 当事者の意見がなかなか反映されなかったことが多いと思われます。 そんな中で、今回は障害当事者自身が何が障害者差別で、 何が障害者差別でないのかという論議を重ねながら県条例の中身の大半を作り、 それを県知事提案の条例案として議会の論議にふしたそうです。
 また、条例をつくるプロセスが障害者運動そのものだという 意識作りに大きな特徴があったということが語られました。 今後の日程としては、本年6月議会において議決をすることを目指し 最終盤の仕上げの時期を迎えているということでした。


2.
 次に、パネルディスカッション「北九州はどうするの?」が行われました。

パネラー
藤村 修 氏 (北九州市障害福祉課 課長)
佐藤 みずほ 氏 (居住サポートセンター 所長)
竹田 勉 氏 (障害者差別禁止条例をつくる会 世話人)
林 芳江 氏 (北九州市障害福祉団体連絡協議会 常任委員)


 林さんがあげた具体的な問題は、 「日ごろ使っている道路がよく穴があく」ということでした。 電動車イス利用の彼女にとっては大変深刻なことなので、 急いで補修をしてもらいたいと思うが、その道路自身が私道である、 私道であっても行政的に補修をすることは可能であるが、 そのための工事の条件として、 地権者の合意や了解がその条件だと説明されるそうです。 電動車イスで日常的活動が困難な林さんにとって、 複雑な所有関係にある地権者の合意をとるということは どれほど困難なことかを考える時、社会の法律的な整備や 改善を望む気持ちが強いという事例が紹介されました。

 佐藤さんは障害者の住宅確保の様々な課題について語られました。 例えば、生活保護を受けて暮らす人になって法基準としての 住宅費の限度額についても、今のアパートの賃料として極めて低い 状況にあることが破格交渉の際に大きな壁になっているということ。 この引き上げがポイントのひとつだとも言われました。 また、障害者に対する偏見や、 過去に障害者の方の利用実態でマイナスのイメージをもたれた方は、 どの障害者も同じような問題点があるのではないかと思い、 交渉そのものを受け入れてくれない事例もあったそうです。

 藤村さんからは北九州の問題について行政面からの経験が語られました。 小倉南区春ケ丘にある現障害者スポーツセンターや、 隣接する療育センターが作られた当時は、 全国に先駆けた障害者問題に取り組むなど、 自治体として注目された時期もありました。どちらかと言えば、 設備などハードの面での取り組みが先行していた時代だと思います。 今、インクルーシブ社会を作ろうとした時、 障害者運動の中心的な課題はソフトの面に移っていると思われます。 その中で行政の果たす役割とは何か、北九州市で何ができるのか、 担当者の立場から本日は学習を深めたいという気持ちが語られました。 また、西鉄バス利用者を対象にした障害者優遇の取り組みでは、 県内全域で事業展開している西鉄バス事業の中でも 北九州だけが取り組んでいる具体的な事例も紹介されるなど、 市の取り組みについても報告がありました。

 コーディネーターの田中さんの司会進行は、 パネラーの問題提起を含め、参加した会場との意見交換をリードして パネルディスカッションの進行が行われました。 障北連の秋吉会長からは、熊本県条例取組のなかで県条例が施行され、 その条例に違反をした場合どのような罰則があるのか、 その論議がどのようになされたのかという質問がされました。 回答としては、障害者差別に対する市民・県民の意識を変えることは 罰則によって強制力を持たせるのは 必ずしも本条例の精神を生かすことにはならないとの考え方から、 特段の罰則規定については作らない方向だとの回答がなされました。 時間の関係もあり、他の人の質問時間等を考慮して 秋吉会長から重ねての質問はしませんでしたが、 本当に語りたかった内容はアメリカにおける障害者差別問題の 具体的な事例の中で、弁護士など社会的公平な立場に立った コーディネーターの活動について述べたかったとのことでした。 例えば、障害当事者とその人を雇うか雇わないか決める 事業責任者と当事者の話し合いでは、 なかなか社会的な公平は守られにくいこと、 その為に間にたってコーディネートする存在が この法律を生かす大きなポイントになっていることなどを 論議したかったのがその真意だということでした。


3.
 以上が研修会の全体的な印象でした。 余談となりますが、会場から駐車場に移動をする時、 佐藤さんと一緒に夜間中学校問題の活動をしている人と会い、 駐車場までその人に秋吉会長の誘導をお願いしました。 地下駐車場で佐藤さんが車に乗り込む時、 ドアを最大限にあけないと車イスが車の適切な位置に 近寄れない実態なども見てもらい、障害者用駐車スペースの 広い意味についても実感してもらうことができました。  小さなことですが、現実に障害者の行動を確認することで、 理解が深まり、そういう意味では社会的啓発活動にも つながったと思われました。
 さらに余談となりますが、 秋吉・佐藤両名で食事に行ったお店での出来事です。 会計を済ませ車まで移動する時にお店の人に秋吉会長への誘導を頼み、 先にいる佐藤さんが二重になったガラス扉のところで 内側は自動ドアであったため何の問題もなかったのですが、 外側のガラスドアはかなり力を入れて手前に引かなければ 開かない構造になっていました。 少し想像していただければ分かると思いますが、 車イスに乗ってそのドアを開けること自体が大変でした。 秋吉会長の誘導をしていたお店の人もすぐに気付き、 ドアを開けてくれたのですが、こんなことの一つ一つの事例が 人の意識を変える社会啓発活動なのだと2人で話し合いながら帰宅しました。